GCP
GCPとはGood Clinical Practiceの略で、「医薬品の臨床試験に関する基準」のことです。
1997年3月27日に厚生省(現厚生労働省)が出した省令です。
被験者の人権と安全性の確保、臨床データの信頼性の確保をはかり、
治験が倫理的な配慮のもとに科学的で適正に実施されるための基準が示されています。
それまでにも、「医薬品の臨床試験に実施に関する基準」(旧GCP)がありましたが、
あくまで「通達」であり、法的拘束力がありませんでした。
しかし、新たに制定されたものは「省令」であるため、
臨床試験に関わる医療機関、治験依頼者など治験に関わる人が臨床試験の実施に当たって、
これを違反した場合は法的に罰せられることになりました。
どちらも略称は「GCP」であるため、
区別するために後者を「省令GCP」または「新GCP」と呼ぶ場合があります。
特に、治験に参加する側にとって重要な点は、
「治験責任医師等は、被験者となるべき者を治験に参加させる時は、あらかじめ治験の内容その他の治験に関する事項について当該者の理解を得るよう、文書により適切な説明を行い、文書により同意を得なければならない」
と規定されていることです。
それまでは「口頭による同意」も認められていましたが、
「文書による同意」しか認められなくなりました。
つまり、医師が勝手に事前説明なしに治験を進めてしまうということがなくなりました。
「文書同意」が必須になったことによって、
被験者は治験に参加する前に治験のメリットとデメリットについて十分説明を受け、
参加するかどうかをじっくり考える機会と時間を与えられるようになりました。