治験でよく目にする専門用語集を作成しました。
単語の意味が理解できないと、同意説明文書の内容がわからない事もありますので、知らない単語がありましたらチェックしておくと良いでしょう。
選択基準とは、治験に参加するにあたり、対象として最低限満たしていなければならない基準のことです。どのような人を対象としたいかを具体的に示してあり、第T相試験であれば体格なども一般的な健康成人であること、第U・V相試験であれば、対象としたい疾患の程度などが示されています。そして、どちらにも共通する基準...
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PKはPharmacokinetics(薬物動態学)、PDはPharmacodynamics(薬力学)の略で、いずれも薬物の効果を評価する指標です。PKの解析は古くから行われており、血液中の薬物濃度を測定することで、薬効の評価や副作用の予防に用いられてきました。血液中の薬物濃度の測定のみでは効果を判...
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治験ではただ唯一つの治療法を用いて行う試験は少なく、通常はいくつかの治療法を並行して行うことがほとんどです。そして、それぞれの治療法間で、治療効果や、安全性等の忍容性を比較していくのです。この時、偏った割付が行われてしまうと、薬の効果や安全性を正確に評価することが出来ません。そこで、無作為割付という...
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治験は、治験実施計画書という手順書に則って実施されます。これには、被験者の選定に係わる記載(選択・除外基準)や治験のスケジュール、詳細な手順、用語の定義や実施体制に関することなど、治験に関するあらゆるルールが記載されています。逸脱とは、この治験実施計画書に記載されているルールを守れなかったことを指し...
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プラセボとは擬薬、つまりは薬効成分が含まれていない、見た目が同じだけの薬のダミーの事を表します。では、何故このようなダミーが必要になるかというと、ダブルブラインドの時に盲検を保持したり、プラセボ効果による影響がどの程度であったのかを確認する為に使用します。これらプラセボは、患者さんを対象とした治験で...
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同意説明文書でよく見かけるゲノムとは、遺伝子の事を指します。通常は白血球内の遺伝子を培養して遺伝子型を調べていきます。治験では、薬剤の代謝能力について調べていますが、結果は大きく3タイプに分かれます。薬物代謝酵素遺伝子のタイプ薬剤をたくさん代謝する人薬剤を普通に代謝する人薬剤をあまり代謝しない人この...
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世界には多くの病気が存在しますが、その中でも患者数が少ない稀な病気に対しての薬剤をオーファンドラッグと呼びます。このオーファンドラッグを開発するにあたっては、製薬企業にとって大変な負担がかかります。症例数が余りにも少ないので、薬剤が無事できあがっても、開発に費やした費用が回収できないからです。すなわ...
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治験で投薬したのが、実薬であるのか、プラセボなのか被験者だけがわからない状態で進めていくのがシングルブラインドですが、被験者も医者もわからない状態で治験を進めていくのがダブルブラインドです。では何故このような盲けん化を行うかというと、予め実薬なのかプラセボなのかの情報があると、副作用の判断に影響を及...
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治験における試験デザインの1つで、交差試験または交互試験とも呼ばれます。A群とB群を設定し、第1クールではA群に試験薬、B群に対照薬を投与します。次の第2クールではA群に対照薬、B群に試験薬を投与します。このように順次入れ替えていく試験デザインです。比較的症状の安定している慢性の疾患で、傾向変動が見...
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GCPとはGood Clinical Practiceの略で、「医薬品の臨床試験に関する基準」のことです。1997年3月27日に厚生省(現厚生労働省)が出した省令です。被験者の人権と安全性の確保、臨床データの信頼性の確保をはかり、治験が倫理的な配慮のもとに科学的で適正に実施されるための基準が示されて...
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負担軽減費とは、治験に参加した人に支払われるお金のことです。実際の負担軽減費はコチラ「治験参加の伴う物心両面の種々の負担を勘案した、社会的常識の範囲内における費用の支払いによる被験者の負担の軽減」として設定されたものです。具体的に言うと、治験に参加することになると通常の診察間隔よる短いスパンで病院に...
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有害事象とは、治験薬使用と時間的に関連して生じる、あらゆる好ましくないあるいは意図しない、身体の構造的(徴候)、機能的(症状)、または化学的(臨床検査データ)変化を指します。治験薬との因果関係(治験薬と関連しているか否か)は関係ありません。有害事象は、治験薬服用後のみを観察すればいいわけではなく、合...
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治験コーディネーターとは、治験実施医療機関で治験の進行をサポートするスタッフの職種を指します。CRC(Clinical Research Coordinator)と略されています。治験コーディネーターの定義は「質の高い治験を倫理的な配慮の下に科学的に、適正かつ円滑に進めるため、被験者との調節を行い、...
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治験審査委員会とは、治験を実施することが倫理的、科学的及び医学的・薬学的観点から妥当かどうかを検討する委員会のことです。IRB(Institutional Review Board)とも言います。治験審査委員会は、日本における治験の基準であるGCP省令に基づいて開催され、治験実施の妥当性、治験薬に関...
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現行の医療では、子供なら一錠、大人なら二錠のように、おおざっぱな投薬がされています。しかし、これでは、体質による薬剤代謝能力が考慮されていない為に、薬がまったく効かなかったり、逆に効き過ぎて副作用が出てしまう方がいます。個人の体質によって薬の効果がまったく違う訳です。これではせっかくの薬も十分に効果...
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その名の通り、臨床試験を請け負い、実施することを商いとしている企業が集まり、協会を形成しています。名目では、治験に関する勉強会などを開催することになっていますが、正直なところ、あまり活動している様子はありません。現在は被験者の休薬期間を監視するのが主な役目となっています。臨床試験では、献血に匹敵する...
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CROとは、Contract Research Organizationの略で、開発業務受託機関のことです。製薬企業から委託を受けて、医薬品のさまざまな開発業務を代行・サポートします。新GCPの中で法的に位置づけられたこと、製薬企業のニーズが高まっている事から、CROの受託している業務の種類、量は新...
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SAEは、Serious Adverse eventの略で、日本語では重篤な有害事象といいます。重篤な有害事象は、GCPで定められています。有害事象の中でも特に死亡に至るもの死亡する恐れのあるもの入院に至るもの入院期間の延長を要するもの永続的な機能障害をきたすもの先天異常をきたすものその他医学的に重...
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バイオマーカーとは、特定の病状や生態の状態の指標を示す生体内物資の総称で、一般的には血液中のたんぱく質などを指します。NIHでは、1998年に通常の生物学的過程、病理学的過程もしくは治療に対する薬理学的な反応の指標として、客観的に測定でき評価されるものと定義されました。医薬品開発にもバイオマーカーは...
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SMO(Site Management Organization)とは、治験施設支援機関のことで、GCPに基づき適正で円滑な治験が実施できるよう、医療機関において治験業務を支援する組織です。SMOの業務は、治験コーディネーターの派遣にはじまり、治験事務局、治験審査委員会の運営補助などを行います。SM...
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新薬候補を投薬して、データの提供を行う人達を治験ボランティア、医学ボランティア、新薬モニターと呼んでいます。彼等は全員自らの自由意志により志願してきた方たちです。彼等がいなければ新薬の開発は進んでいきませんので、非常に重要な役割をになっていますが、何故か世間的にあまり良いイメージがないようです。比較...
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新薬は承認されてから20年間は特許期間が発生するため、他社は同じ薬剤を作る事ができません。しかし、特許期間が過ぎた薬剤は、どの製薬企業でも薬剤を真似して作成する事が認められます。作られた薬剤は、「生活向上WEB」や「JCVN」などの治験ボランティア会で被験者が集められて生物学的同等性試験が実施されま...
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生物学的同等性とは、既に市販されている医薬品と効果や副作用が同じものを開発するときに評価されるもので、後発品医薬品、いわゆるジェネリック医薬品の開発等で重要となるものです。同じ薬効成分を同じ量だけ含む製剤であっても、製造元によって賦形剤や添加物の種類や組成が異なったり、製剤のコーティング方法やコーテ...
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分子標的薬という言葉は、抗体製剤が出始めた1980年代頃より登場してきた比較的新しい薬剤グループです。分子標的薬とは、がん細胞やその他の異常な細胞で過剰に発現している特定の分子をターゲットとし、その機能を抑制することにより疾患の治療を行う薬剤のことです。正常な器官・組織・細胞と比較して、異常の認めら...
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治験責任医師とは、治験の実施チームにおけるすべての責任を負う医師のことです。GCPに関する知識を十分に持っていること、治験に関する十分な知識を十分に持っていること、そして治験を実施するための時間を確保できることが、治験責任医師を務める要件となります。GCPで定められている治験責任医師の職務としては、...
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採血や注射を実施した直後に、一過性で気分不快が生じたり血圧の低化や失神したりする事を迷走神経反射といいます。迷走神経反射は、元来自分の体に備わった生体防衛反応の一種ですが、その防衛反応が過剰に現れた場合におこります。迷走神経反射の主な原因は、過度の痛みや緊張による事が多いです。私の経験では、初めて治...
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