大きな偏食があると治験には参加できません
被験者さんの中で時々お見かけますが、あまり激しい偏食があると治験には参加できなくなります。
特に主食となるようなパンや、ご飯などが食べられない、脂質を多く含む牛乳が飲めない場合は、治験の参加をご遠慮いただいています。
何故食事の内容ごときで治験に参加できないんだ?
と侮らないで下さい。
実は食事の摂取量や内容は薬剤の吸収に大きく影響を与えるファクターの一つなんです。
錠剤で説明すると、薬の周りにはコーティングが施されていたりします。
そのコーティングは、指定されたphで溶けるように調節されていて、その仕組みを利用して薬を届けたい場所まで運んでいきます。
また薬の性質で脂で溶けやすかったり、
水に溶けやすかったりという特徴もあります。
- 腸まで届けたい
表面のコーティングをアルカリ環境下で溶けるようにする
- 胃で薬を利かしたい
表面のコーティングを酸性環境下で溶けるようにする
- 水に溶けやすい
水と一緒に服薬すればよい
- 脂に溶けやすい
食後に服薬する必要がある
簡単に説明するとこんな感じです。
薬によって使い方はそれぞれですので、あくまで例えとしてあげてみました。
では、食事の量や内容がどのように関係してくるかと言いますと、まず食べる量によって胃内の酸度が変わってきます。
普通に食べればpH5くらいのものが、食事の量が少ないとPH3くらいしか上がらなかったりします。
また、牛乳が飲めなかったりすると、脂質が摂取できませんので、
胃内は水溶性に傾きます。
あとは、食事の量によって物理的に薬が腸に到達する時間がかわってきます。
するとどうなるかというと、予期せぬ場所で薬が溶け出してしまったり、
予定の場所で溶けてくれなかったりする訳ですね。
治験においては、薬の安全性、認容性、吸収、分布、排泄を厳密に検討していきます。
一定の条件を揃えておかないと上記の理由で検討する事ができないんですね。
是非皆さん治験に参加される際には正確に申告をお願いしたいと思います。
主食が食べられない程の偏食をお持ちの方は、
食事が関係ないコスメ系のモニターとかを検討する方が良いかもしれませんね。